【選抜決定】近畿7校おめでとうございます&昨秋戦績と選抜への期待まとめ
こんにちは。
まずは選抜出場が決定した32校おめでとうございます!2か月後の活躍を期待しています。今年に関してはその前に「無事に選抜が開催される事」を願ってやみません。
今回の記事では、32校の中でも近畿6校に絞って各校についてまとめていきたいと思います。他地区のまとめは後日予定しています。
【1枠目】智辯学園…3年ぶり14回目
県大会(奈良2位) 4勝1敗(32得点/14失点)
近畿大会(優勝) 4勝0敗(28得点/15失点)
〇5-3 郡山
〇12-2 平城
〇10-0 高田
〇3-1 奈良大附
●2-8 天理(奈良1位)
〇9-8 滋賀学園(滋賀1位)
〇8-3 龍谷大平安(京都1位)
〇4-1 市和歌山(和歌山1位)
〇7-3 大阪桐蔭(大阪1位)
・9年ぶりの近畿V&4府県1位から勝利
・県大会からの打線の成長著しい
・西村/小畠の両輪の安定感がカギ
5年ぶりの選抜Vに向けて、近畿Vというこれ以上ない戦績で昨秋を締めくくった。しかしながら県大会は初戦から古豪郡山に2点差の辛勝スタート。準決勝では昨夏敗れた奈良大附に競り勝ち近畿大会出場を決めたものの、宿敵の天理に決勝で完敗。天理のエース達から中盤以降打線が沈黙。西村/小畠も複数失点を防げず、近畿大会に向けて投打で課題を残した。
近畿大会では、初戦の滋賀学園には中盤までリードも、終盤の大量失点で延長戦の末に辛くも逆転サヨナラ勝ち。準々決勝の龍谷大平安には中盤まで接戦も、相手の継投を突く終盤の猛攻で突き放した。この2試合ではエース西村が完投。点は取られても逆転までは許さない粘り強さが光った。選抜を確実とした後の準決勝では1年から経験豊富な小畠が先発し、市和歌山を1失点完投と安定感を発揮。負けじと西村も決勝の大阪桐蔭戦では3失点完投と、1イニングに複数失点を許さず味方打線の流れを切らなかった。優勝以上に試合を重ねるごとに内容が良化した点が、選抜でも大きな期待を抱かせる。
打線では、近畿大会決勝にクリーンナップだけで7安打6打点2本塁打(前川/山下/三垣)を記録したように中軸の爆発力は相当なものがある。県大会ではその爆発力が鳴りを潜めていただけに、近畿大会の好投手を次々と攻略できたのは自信になるだろう。どちらかといえば不安は投手陣か。県大会から見ても完封は1試合のみと、失点は少なくとも完璧に抑えた試合は少なかった。また、近畿大会では全試合完投と継投無しで勝ち上がってきたが、選抜では左の西村/右の小畠をどう使い分けるのかも注目したい。
【2枠目】大阪桐蔭…2年連続12回目
府大会(大阪1位) 7勝0敗(81得点/7失点)
近畿大会(準優勝) 3勝1敗(34得点/16失点)
〇8-1 渋谷
〇10-0 近大附
〇24-0 千里
〇8-1 箕面学園
〇15-1 興国
〇8-3 履正社
〇8-1 東海大仰星(大阪2位)
〇8-0 長田(兵庫3位)
〇11-4 天理(奈良1位)
〇12-5 京都国際(京都3位)
●3-7 智辯学園(奈良2位)
・内容面において昨秋は全国屈指の数字
・選手層の厚さから選手起用にも注目
・投手の軸を作りたいところ
昨秋の2年連続近畿大会準Vという功績は素晴らしくもあり、大阪桐蔭からすると勝ち切れなかった印象も残る。それでも内容面で一昨年の秋よりも充実した事から、多くの選手を起用できる幅が広がった事は選抜に生きてくるだろう。府大会は5試合をコールド勝ちの後に準決勝で履正社と組まれるも快勝、決勝でも東海大仰星に快勝した事で内容面でも文句のつけようがない優勝を飾った。得失点差はもちろん32校中トップである。
府大会の終盤ではエース松浦が連投する試合が続いたものの、近畿大会で完投は1試合のみ。初戦の長田相手に5投手の継投を試したように、連投耐性は府大会で確認済みと感じさせる投手起用となった。しかし、松浦は準々決勝の天理/決勝の智辯学園にそれぞれ4失点と精彩を欠き、2番手となる関戸も制球に課題を残した。両輪の不安とは裏腹に竹中/西川が台頭し、1年の川井も経験を積めた事で投手陣の争いは激化。春にどの投手が伸びてくるか非常に楽しみである。投手陣同様に野手陣も1試合ごとのスタメンの面々の変化が大きく、投打においてまだまだ発展途上である。
野手陣においては3試合コールド勝ちの猛打が光ったが、無得点の回は29回/19回。畳みかける攻撃は健在も、智辯学園と比較すると粗さがあったように感じる(智辯学園は35回/18回)。決勝で3安打と好調だった野間が出てクリーンナップで返す構図に加え、6番に座った花田は準決勝に満塁弾を放つなど下位打線でも一発がある。先述したように打線の組み方が流動的なため、選抜ではガラッと変わったオーダーになるかもしれない。何より過去のチームでも際立っていた秋から春への成長が大阪桐蔭の強さ。久々の甲子園での躍進に期待したい。
【3枠目】市和歌山…2年ぶり7回目
県大会(和歌山1位) 7勝1敗(54得点/18失点)
※新人戦は準優勝
近畿大会(ベスト4) 2勝1敗(5得点/5失点)
〇5-0 橋本
〇7-1 耐久
〇10-0 南部
〇6-3 智辯和歌山(和歌山3位)
●2-6 和歌山東(和歌山2位)
〇11-2 和歌山南陵
〇5-4 智辯和歌山(和歌山3位)
〇8-2 和歌山東(和歌山2位)
〇2-1 東播磨(兵庫2位)
〇2-0 智辯和歌山(和歌山3位)
●1-4 智辯学園(奈良2位)
・大会No.1の呼び声高い小園は安定感抜群
・接戦の強さが際立つ
・小園一辺倒にしない打線の奮起が不可欠
2年前の選抜ではベスト8。当時の1年生投手である岩本の後を継ぐように、昨秋は新エース小園が好投を重ねた。特に新人戦/2次予選/近畿大会と智辯和歌山に計3勝と県内のライバルに力量差を示した。この3試合が小園を大きく成長させた事は間違いない。中でも2次予選では4失点完投と終盤の打線爆発に助けられたが、近畿大会では2点のリードを守り切り完封。近畿大会準決勝ではリリーフで登板し智辯学園に得点を許さなかった。
結果的に近畿大会3試合で小園の失点は東播磨の1点のみ。準決勝で先発から外れたのも、絶対的な存在故に日程の詰まる選抜で2番手以降の投手の目途を立てたい思惑があったからであろう。その為、準決勝では1年生投手の米田が先発したものの2回までに4失点と不安定な投球。米田は近畿大会出場を既に決めている県大会決勝でも先発を任されていたが、この試合も2回までに2失点。この点は春に向けての明確な課題である事に違いない。ちなみに2年前の選抜では先述した岩本と柏山の2枚看板で2勝している。近年の高校No.1投手である奥川や中森同様に、小園を支える投手の台頭が待たれる。
打線は小園とバッテリーを組む旧友の松川が4番に座る。少ない得点でも小園が守り切る勝ちパターンが近畿大会でも機能していたが、それにしても3試合でわずか5得点と大会を通じて好投手を打ちあぐねた印象は否めない。県大会では5得点以上が負けた1試合を除いて続けていただけに、このままでは小園頼みのチームになりかねない。小園の起用も勿論の事ながら、それ以上に打線の奮起を期待したい。
【4枠目】京都国際…初出場
府大会(京都3位) 5勝1敗(38得点/7失点)
近畿大会(ベスト4) 2勝1敗(15得点/20失点)
〇9-2 京都廣学館
〇10-0 洛西
〇4-0 洛東
〇11-0 京都外大西
●1-3 龍谷大平安(京都1位)
〇3-2 東山
〇4-3 和歌山東(和歌山2位)
〇6-5 神戸国際大附(兵庫1位)
●5-12 大阪桐蔭(大阪1位)
・府大会では投/近畿大会では打が躍動
・投打で軸の1年生投手の成長に期待
・初の選抜でどこまでやれるか
3年前の近畿大会では、兵庫1位/近畿準Vの明石商に6-4と惜しくも初戦敗退。奇しくも去年の近畿大会準々決勝は、同じく兵庫1位の神戸国際大附だったが競り勝って初の選抜出場を決めた。府大会では3位に終わったものの、負けた試合は龍谷大平安に2点差と僅差だった事が3位決定戦にも生きた。近畿大会進出の主因は、6試合で7失点という投手陣の安定感だろう。参考までに大阪桐蔭が府大会7試合で7失点である。
近畿大会ではその大阪桐蔭に12失点を喫して7回コールド負けに終わったが、5回終了時までは3-0とリードしていた。この試合で先発した平野は5回まで大阪桐蔭打線を1安打に抑え、打っては3安打と投打で軸になった。平野の後を投げたエース森下は炎上してしまったが、2勝した試合でいずれも完投。2試合とも1点差というギリギリの展開を凌ぎ切る精神的な強さがある。驚くべき事にこの2人はまだ1年生であり、春にどれだけ成長したかが楽しみな存在である。
打線は府大会以上に存在感を見せた。特に、神戸国際大附/大阪桐蔭と近畿トップクラスの投手陣から計11得点。神戸国際大附はエース阪上が先発しない想定外もあったが、中辻を1回でノックアウト。大阪桐蔭もエース松浦が先発しなかったが、川井を3回途中でノックアウトと序盤の立ち上がりをしっかり捕らえる力がある。その中心にいるのは先述した森下/平野の1年生コンビ。5番の辻を含めクリーンナップは全員1年生という構成である。初選抜に注目の1年生が揃う魅力たっぷりのチームが、まずは選抜初勝利を目指す。
【5枠目】神戸国際大附…4年ぶり5回目
県大会(兵庫1位) 8勝0敗(48得点/5失点)
近畿大会(ベスト8) 1勝1敗(10得点/8失点)
〇8-1 神戸高塚
〇10-0 須磨学園
〇6-0 三田学園
〇2-1 神戸第一
〇4-2 社
〇6-1 神戸弘陵
〇10-0 神戸村野工
〇2-0 東播磨(兵庫2位)
〇5-2 近江(滋賀2位)
●5-6 京都国際(京都3位)
・好投手集う近畿の中でも目を引く投手力
・準々決勝だけでは力量は測れない
・強豪校との対戦が少ない気も
準々決勝は2回が終わった時点で神戸国際大附は6点のビハインド。兵庫2位/兵庫3位の初戦敗退で、どんなに地域性で有利でもコールド負けとなれば一気に立場が下がる展開だったが結果的には1点差まで詰めた。エース阪上の先発回避/中辻の炎上という逆境から立て直したのはチーム力の高さを証明している。
元々、県大会を通じて3失点以上を喫したのはこの試合のみ。阪上/中辻の2枚看板で、長丁場の県大会において1試合も炎上することなく抑えきった。一方で近畿大会の常連である明石商/報徳学園とは組まれず。近畿大会でも近江/京都国際と組まれたものの、近畿ベスト4と比較するとやや対戦相手に恵まれた感も。敗れた京都国際が京都3位/次戦で大阪桐蔭にコールド負けした事も選考前から実力に疑問符が付く要因となっていた。しかしながら、1試合で力量を測るのは勿体無い。阪上が万全ならというたられば込みにはなるが、選抜では安定した投球を披露してくれそうだ。
打線でも阪上が軸となる。登板しなかった準々決勝は中堅で出場し1安打1打点/初戦では2安打と3番としての役割を果たした。阪上の後ろを打つ西川も2試合で4安打3打点と、この2人の前に1番の能登原が出塁する攻撃パターンが機能。特に打線に穴も無く、それ以上に投手陣が充実している事が攻撃のリズムを生んでいる一因だろう。チームカラーとしては市和歌山に似ていると感じるが、打撃ではこちらが上とみる。投打のバランスも近畿ベスト4と比較しても遜色無い。
【6枠目】天理…2年連続25回目
県大会(兵庫1位) 5勝0敗(42得点/8失点)
近畿大会(ベスト8) 1勝1敗(6得点/12失点)
〇7-0 法隆寺国際
〇9-0 橿原
〇11-6 御所実
〇7-0 畝傍
〇8-2 智辯学園(奈良2位)
〇2-1 乙訓(京都2位)
●4-11 大阪桐蔭(大阪1位)
・今回の選考で最大のサプライズ最終枠
・県被り/コールド負け/6枠の選出は19年ぶり
・達の連投耐性は果たして
近畿のみならず全地区で見ても最大のサプライズ選出と言えるのではないだろうか。近畿でのコールド負けは県被り無しであるのを前提に選出された例はあるものの、今大会は智辯学園が優勝。いくら同県校が優勝したとはいえ、その智辯学園に近畿大会で対戦している龍谷大平安/近畿大会の成績で優る智辯和歌山の存在もあり、事前の天理の評価は人によって大きく異なっていただろう。
もともと県大会で天理は智辯学園に6点差の快勝。この試合も選考評価に大きく関係していることは間違いない。その中で、エース達がクローズアップされる機会が多かったが打線も好調。投打に充実した県大会を送った結果、得失点差は智辯学園が+18/天理が+34と大差がついた。唯一荒れた御所実との試合では達からの4投手の継投で失点が重なった結果であるが、畝傍から大阪桐蔭まで4試合連続完投と他投手を起用していく試合を作れなかったのは痛い。2年前の近畿Vの時にはエース庭野と決勝で先発した達の2枚看板だったが、連投となった大阪桐蔭との試合結果を考えると達以外の投手に不安が残る。
その試合の11失点が連投によるものと判断されたのも選出の一因ではあるが、日程の詰まる選抜終盤まで勝ち進むと連投が言い訳にならなくなり、軸がエース1枚のチームは投手起用に悩まされる事も少なくない。今年の近畿で言えば、市和歌山/天理/東播磨がその問題に直面しそうである。もっとも、その負担を軽くするには打線の援護が不可欠であり、この点では上記3チームの中で天理が優れている。達を含め2年前の近畿Vメンバーも残っており経験値は高い。また、完壁に抑えられた試合は乙訓との試合ぐらいで智辯学園/大阪桐蔭の投手陣も苦にしなかったのは自信になる。
県大会(兵庫2位) 7勝2敗(40得点/14失点)
※地区予選は初戦敗退で敗者復活戦へ
近畿大会(初戦敗退) 0勝1敗(1得点/2失点)
●2-3 小野
〇4-2 明石
〇11-1 西脇
〇3-1 加古川西
〇10-6 柏原
〇2-1 市尼崎
〇1-0 育英
〇7-0 長田(兵庫3位)
●0-2 神戸国際大附(兵庫1位)
●1-2 市和歌山(和歌山1位)
・鈴木の投球に大きな期待
・10年前の加古川北旋風を彷彿とさせる
・全国レベルの投手を打ち崩せるか
兵庫県勢としては長田以来となる21世紀枠での選出となった。その道のりは平坦では無く、昨夏の県大会で最後まで勝ち残り名をあげたものの昨秋の地区予選は黒星スタート。そこから敗者復活戦を勝ち上がり、市尼崎/育英と甲子園出場経験校を僅差で制した。新旧21世紀枠対決となった長田にはコールド勝ちを決め近畿大会出場。決勝で神戸国際大附には敗れたものの、大会通してエース鈴木の能力の高さが際立った。
近畿大会では初戦で敗れたものの、小園と鈴木の投げ合いはまさに全国レベルの試合を彷彿とさせた。学校評価もさることながら「全国レベルでも通用する」と感じさせるだけの投球が21世紀枠の決め手の一つとなったと言ってもいい。ところで東播磨の現監督は10年前の加古川北の監督でもあり、公立の注目エースがいる点は瓜二つである。加古川北は近畿大会で大阪桐蔭を完封でベスト8/選抜でも金沢/波佐見を連続完封でベスト8と、エース井上の活躍に注目が集まった。当時と比較するのは酷な話かもしれないが、鈴木も似たような注目を浴びるほどの投手であることは間違いない。
一方で打線は未知数。県大会の1試合平均得点は4点台と近畿6校と比較すると見劣りするが、秋から春にかけての成長に期待したい。