【近畿大会】天理は前例無き存在として選考の掟を破れるか。
こんにちは。
近畿大会はまだ明日もあるので各校の評価は定まっていませんが、ここでは天理について現時点でのお話をしたいと思います。
天理の詳しい成績は↓にて。
成績的に見ると天理は準々決勝コールド負けであり、他の準々決勝3試合がコールドゲームで無かった事も評価を下げていました。また、地域性の観点からも智辯学園が選抜を確定させている事で有利な要素では無くなりました。それでも天理が当落を別にして「前例無き存在」と思われる理由はいくつかあります。以下に書いていきます。
まず、2000年以降でベスト8(コールド負け)かつ府県1位通過だった高校は、天理を含めて9例あります(赤色が当選/青色が補欠/※は同府県の結果/▲は準々決勝で敗戦した校)。比較して見てみましょう。
2001年…郡山(奈良1位)●1-8
※智辯学園(奈良2位)…初戦敗退
※天理(奈良3位)…初戦敗退
▲智辯和歌山(和歌山1位)…ベスト4
2004年…履正社(大阪1位)●8-15
※東海大仰星(大阪2位)…初戦敗退
※大産大附(大阪3位)…ベスト8
▲八幡商(滋賀1位)…ベスト4
2006年…近江(滋賀1位)●6-13
※北大津(滋賀2位)…ベスト4
▲大阪桐蔭(大阪1位)…準優勝
2008年…報徳学園(兵庫1位)●0-7
※滝川二(兵庫2位)…初戦敗退
※東洋大姫路(兵庫3位)…ベスト8
▲PL学園(大阪1位)…準優勝
2012年…天理(奈良1位)●1-8
※大和広陵(奈良2位)…ベスト8
▲大阪桐蔭(大阪1位)…ベスト4
2015年…市和歌山(和歌山1位)●0-7
※高野山(和歌山2位)…初戦敗退
▲明石商(兵庫1位)…ベスト4
2016年…上宮太子(大阪1位)●3-11
※履正社(大阪2位)…優勝
※大阪桐蔭(大阪3位)…ベスト4
▲神戸国際大附(兵庫1位)…準優勝
2019年…京都翔英(京都1位)●3-10
※東山(京都2位)…初戦敗退
▲履正社(大阪2位)…ベスト4
2020年…天理(奈良1位)●4-11
※智辯学園(奈良2位)…優勝or準優勝
▲大阪桐蔭(大阪1位)…優勝or準優勝
①関連校の実績が飛び抜けている
過去の事例において、関連校が優勝したというケースは2016年の上宮太子のみ(この年は3校ルールで既に大阪桐蔭/履正社が選ばれていたため除外)。その為、上宮太子を除いた全ての事例において今年の天理の関連校の実績が飛び抜けている事が分かるかと思います。関連校が良い成績を残すほど選考において加点される傾向にあるので、天理は過去最高の加点を得られるのではないでしょうか。
②コールド負けは特例以外は落選
特例とは「地域性」が理由になる事が多く、上記の報徳学園/市和歌山はそれぞれ一般枠で兵庫0/和歌山0の可能性が濃厚だった事が響いています。過去にも、近大附/県和歌山商が初戦敗退で選出された時はそれぞれ一般枠で大阪0/和歌山0の可能性が濃厚でした。もう1つ特例となり得る理由は「準々決勝コールド3試合以上」です。ベスト8から2校選ばれるのが通例の為、地域性関係なく選ばれるのは半ば消去法です。この2つの特例以外で選ばれた校は1994年の市岡のみです。
③1994年の市岡について
②で述べた「地域性」と「準々決勝コールド3試合以上」を両方満たさず選ばれた唯一の例は、1994年の市岡です。古いデータなのでもちろん現代の選考との関連性は薄いですが、今年の天理と似た部分もありますので以下に書いていきます。
1994年…市岡(大阪2位)●6-13
※PL学園(大阪1位)…優勝
※浪速(大阪3位)…初戦敗退
▲伊都(和歌山1位)…ベスト4
・市岡との比較校↓
智辯和歌山(和歌山2位)●2-5
同府県が躍進しているという点では天理と同様ですね。今も昔もそうですが大阪勢が優遇されていたのはその力量によるもので、近年の近畿大会における奈良勢の力量も相当なものと判断された場合には、天理にも市岡と同様の判断が下るかもしれません。あくまでも想像の域を出ませんが、天理が選ばれた場合には現在の奈良勢の認識が当時の大阪勢のようなものであるという理由になると思います。
④2年前の横浜が風穴を開けた選考
これも③と同様に、絶対的に参考となるものではありませんが関東の事例です。2年前の横浜も天理同様に準々決勝にてコールド負けを喫してしまいましたが、史上初のベスト8コールド負けで選抜に選出され話題となりました。以下に詳細を書きます。
2018年…横浜(神奈川1位)●2-9
※桐蔭学園(神奈川2位)…優勝
▲春日部共栄(埼玉1位)…準優勝
・横浜との比較校↓
東海大菅生(東京2位)●3-4
関連校の成績など天理とほぼ同じ要素が詰まった横浜ですが、これらの成績のみならず「及川という好投手の存在」も選考理由の1つとしてあげられていました。この点に関しても天理には、エースとして昨年の近畿大会優勝に貢献した達がいます。大阪桐蔭戦では連投となった点の考慮も含め「春に見たい」と思わせる投手と判断されれば、推す材料の1つになり得ます。もちろん、前提として関東と近畿で選考理由が異なりますが「選抜は好投手がいる校が有利」というのは全国共通の認識であると思います。
以上のように「コールド負け」は特例以外選ばれないものの「好投手」「関連校の戦績の良さ」「近年の奈良勢の存在感」の加点要素が揃った今年の天理は、仮に選出されてもそれを肯定できるだけの理由があります。前例無き存在とは加減点の振れ幅が大きい存在という意味。それだけ人によって評価の振れ幅も大きい事と思いますが、筆者自身は天理に関して6枠目にふさわしいと考えています。