Ropenの野球話

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【近畿V2】奈良勢の強さは智辯学園・天理だけではない。

こんにちは。

 

先日、近畿大会が終了しまして智辯学園が9年ぶりのVという事でおめでとうございます。西村/小畠と去年からの経験を積む投手2枚が試合を重ねるごとに安定し、例年の強打のイメージそのままに見事な優勝でした。奈良勢のV2は2010年(天理)/2011年(智辯学園)以来という事で近年の奈良勢の充実を感じ取れます。

 

智辯学園アラカルト】

・4府県の1位校を連破し優勝

 まずこの記録自体は半分運も絡んできます(府県1位通過なら無理/2位&3位通過でも対戦相手全てが1位校になるとは限らない)。ですが、滋賀学園/龍谷大平安/市和歌山/大阪桐蔭を4連破したのは素晴らしいですね。この記録は1984年の東洋大姫路(大谷/天理/智辯和歌山/PL学園)以来と中々見れません。去年は県3位の天理が近畿Vだった事もあり、どの県順位でも油断ならない奈良勢の強さを感じさせます。

 

・初戦8失点で優勝

近畿Vを果たすチームの大半は投手力に長けており、特に比較的対戦相手に恵まれやすい初戦の失点は3失点以下であることが多いです。智辯学園も西村/小畠と経験豊富な2枚看板がいるため、そこまで投手力に難がある訳では無いのですが初戦は乱打戦に。初戦8失点で優勝したのは史上初の記録です。8失点の経験を踏まえ、次試合以降でしっかりまとめてきた西村の修正力の高さ/後ろに小畠がいる安心感が大きいですね。

 

・コールド勝ち0で優勝

優勝校といえばコールド勝ちを重ねて勢いをつけて…という校が多いですが、智辯学園は初戦のサヨナラ勝ちを起点として接戦で勝ち残る強さを感じさせる校だったように思います。決勝の相手が3試合コールド勝ちの大阪桐蔭だった事もありますが、昨日の試合展開は智辯学園のここまでの経験で優ったように思います。この記録は2013年の龍谷大平安以来。翌年に龍谷大平安は選抜を制したので良いジンクスかもしれません。

 

・4試合連続完投で優勝

前述したように優勝校の大半は継投で勝ち上がる校であり、エース1枚のチームでも準決勝以降は2枚目の投手育成を見据えた起用も多いです(今年の市和歌山など)。その為、4試合連続完投(準決勝は小畠/その他は西村)で優勝というのは完投能力のある投手を複数枚揃っている理想の投手陣といえます。この記録に当てはまる2016年の履正社が選抜準優勝/2017年の大阪桐蔭が選抜優勝を果たしたのも無関係ではないでしょう。

 

以上、色々な記録をまとめてみました。

次に奈良勢の強さについて。

 

近畿大会勝率の上昇

※2001年~2010年

兵庫(43勝25敗).632

大阪(35勝28敗).556

奈良(21勝23敗).477

京都(21勝24敗).467

和歌山(19勝25敗).432

滋賀(11勝25敗).306

 

天理(13勝7敗)

斑鳩(4勝2敗)

郡山(2勝4敗)

奈良大附(1勝1敗)

高田商(1勝3敗)

桜井(0勝1敗)

片桐(0勝1敗)

関西中央(0勝1敗)

智辯学園(0勝3敗)

 

※2011年~2020年

奈良(35勝21敗).625

大阪(38勝27敗).584

京都(30勝22敗).577

兵庫(19勝30敗).388

和歌山(15勝25敗).375

滋賀(13勝25敗).342

 

智辯学園(14勝5敗)

天理(13勝4敗)

奈良大附(5勝5敗)

法隆寺国際(1勝1敗)

大和広陵(1勝1敗)

高田商(1勝2敗)

橿原学院(0勝1敗)

平城(0勝1敗)

橿原(0勝1敗)

 

10年で区切った時の各府県の勝率と奈良勢の勝率です。勝率の伸びは他府県を凌駕していますね。奈良勢の内訳にも大きな変化があり、2000年代で近畿大会3連敗だった智辯学園が計14勝をあげる躍進ぶり。更にその2校に追随するように奈良大附が台頭し、近畿で戦える校が天理1枚から3枚に増えた事で県内競争が高まり、大阪を上回る勝率になったと考えられます。

 

近畿で戦える高校が3校になったという意味では、兵庫(神戸国際大附/報徳学園/明石商)も該当しますが大きく勝率を落としています。ただ単に戦える3校を揃えるだけではなく、3校が近畿大会の面子として固定化されないような県内での充実ぶりが必要になってきます。 そういう意味では今年の兵庫は東播磨/長田が上位・報徳学園/明石商が中盤で敗退と変化の兆候があります。2010年代は東洋大姫路/神港学園/育英などの実力校の衰退の出場減退に伴う新興校が明石商ぐらいだったので、2020年代はこの点に期待したいですね。

 

・畝傍/奈良/法隆寺国際/高田商など公立の充実

大半の都道府県の柱は私立で奈良勢も上記に述べた天理・智辯学園奈良大附の壁が厚く、近畿への道は容易ではありません。しかし、大阪のように何十年と公立校が近畿に来れないという状況でも無く、県大会で度々好勝負を演じています。強豪私立のいる都道府県にありがちな競争力の低さとは無縁で、2~3年に1度のペースで公立校が近畿に顔出し出来ています。この私立と公立の絶妙なバランスが高い競争力を生む要因と考えられます。

 

・あまりの充実に21世紀枠とは無縁?

 

21世紀枠/近畿推薦】

※2001年~2010年

兵庫×

大阪×

奈良2(桜井/畝傍)

京都×

和歌山5(橋本/耐久/県商2/向陽)

滋賀3(彦根東2/守山)

 

※2011年~2019年

奈良×

大阪1(八尾)

京都2(堀川/洛星)

兵庫2(洲本/長田)

和歌山2(海南/桐蔭)

滋賀2(膳所/伊香)

 

これまでの近畿推薦のまとめですが、奈良は畝傍以降10年以上近畿推薦から遠ざかっています。理由はいくつかありますが、まず21世紀枠は一般枠であまり枠を食わない府県に優先的に与えられているということです。上記の勝率表と照らし合わせると、2001年~2010年で勝率1,2位の兵庫/大阪から近畿推薦を選ばれておらず、2011年~は勝率1位の奈良から近畿推薦が選ばれていません。勝率と近畿推薦はいわば反比例のような関係となっています。

 

また、奈良と「同地区」の和歌山にかなり枠が割かれているため、その割を食っているのも理由の1つです。基本的に近畿で同地区とは「大阪・兵庫」「京都・滋賀」「奈良・和歌山」を意味し、一般枠を含めなるべく同地区に枠が偏らないように配分されるのが一般的です。つまり、同地区の和歌山に近畿推薦が集中してしまうと奈良に回ってくる近畿推薦の機会が少なくなります。ただ、近畿推薦が少ないのは言い換えると推薦が無くとも府県内が充実している証明でもあるので、この点は良し悪しといった感じでしょうか。